総合デベロッパーとして成長するNTT都市開発は、一般のデベロッパーとは違いNTTグループがもつICT、エネルギー、環境技術などのリソース活用という強みを持っています。建物も街づくりも、高度な通信技術やデジタル技術などを活用して、より便利に快適になっていく時代。これからのビジネスの方向性について、開発本部開発推進部 担当部長・川久保愛太さんにうかがいました。
不動産と通信の融合で、豊かに暮らせる未来をつくる
NTT都市開発は、NTTグループ内の多種多様な業種を経験した社員が集まっているのが特徴で、電話にアイデンティティを持つ社員も多くいます。異なる視点をもった社員がそれぞれ不動産マーケットを見て育つことで、他社にはない個性をだせると考えています。徐々に「うちはこういう会社だよね」という強みに育てて、意志を継いで繋がるのではないでしょうか。
NTTグループがめざしている世界観は、時間と空間を超えられる通信の良さを活かして、誰でもどこでも世界の人と繋がって生産性を上げられる社会を通じて、よりスマートに一人ひとりが自分らしく生きられるWell-beingな世界。それに対して、人が密に集まらないと始まらない不動産ビジネスは相反する一面もあります。
そんな一面がありつつ、私たちが担う役割は何かというと、誰とでも繋がれるとかみんなが生産的にバーチャル空間で働くけれど、そこのインターフェイスはどんなものがいいんだろうとか、リアルとバーチャルの接点を提案して、「こうやったらメタバース空間も利用しながら豊かに暮らせますよ」という像を見せることだと思います。それによって、「リアルとバーチャル空間との接点作りがいいね」と、他のデベロッパーが模倣してくれたら、オフィスや商業施設などを作っていくNTTグループの会社として、役割を果たせるのだろうと思います。
NTT都市開発とは?
NTT都市開発はNTTグループの総合不動産会社であり、1986年にNTTグループの電話局跡地などの遊休地開発を目的に設立された。1999年4月、 エヌ・ティ・ティ関西建物など各エリアのNTTグループ不動産会社各社を合併し、全国規模での事業を行う体制になり、オフィスビルの開発・賃貸事業をはじめとして、商業事業、住宅事業、グローバル事業、ホテル事業を展開する。
新しい技術を使ってユーザー・エクスペリエンスを最大化し、「体験価値」を提示する
今まで通りのオフィスビルを作っていくだけではNTTグループがめざす世界観とも合わないですし、時代遅れにもなっていくでしょう。リアルとしての集まる魅力は用意しつつも、バーチャルで遠くの人とも多くの人とも繋がれる空間で、それがよりリアルに近い体験ができるインターフェイスはこういう形だよね、というものを示していくことが私たちに課せられている課題です。
それがどういう形であるのかは、今は多分誰もわかっていないし気づいていないでしょう。例えばアップルのゴーグル型デバイスは、その一つの解だと思いますが、もっと大空間、大画面とかでも違う繋がり方ができるし、まったく別のインターフェイスの形があるのではないかとも考えています。そういうことをもっと考えていくことが、私たちのミッションじゃないかと思っています。
人の生態系について不動産というリアルを通じて知っている、あるいは想像できるのは、NTTグループの中でのNTT都市開発の強みです。その強みを活かしてNTTグループがやりたい、通信を使った次の社会づくりの構想について、みんなが「これなら街の人は興味を持つかな」という形に翻訳してあげる作業が必要であり、インターフェースづくりが私たちのミッションかな、と思います。
今までは差異化して、他に模倣されないものを作る、という意識が強かったのですが、むしろ今の発想は、模倣されることでNTTグループのめざす未来に早く近づくことができると考えていますし、それがNTTグループ利益にも繋がります。自分たちがトップバッターになり、みんなが「これいいね」と思ってくれるような街中のインターフェースづくりをしていくことが大切だと考えています。
NTTグループは、デジタルにしても高速通信にしても、世界最先端の技術の宝庫です。これをどうやって社会実装させるのかが、NTTグループの課題でもあります。多くの人に訴求し、魅力を感じてもらうサービスは、不動産のような人と人との接点に先端技術を埋め込まないと実現しないかもしれない。そこに、私たちの存在意義があります。
今現在の話でいうと、NTTがやろうとしているIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)1構想がありますが、これを不動産ビジネスに活かしていくことを私たちは考え、試行しています。
IOWNというのは光を使ってデータ処理や通信をしていく技術。今は電子によってデータ蓄積しているので、そこで熱も発生して、空調にものすごい電気を食う。それに対して光で保存すると、まず電気を使わないので熱があまり発生しない。さらに光でデータを蓄積できたら光でそのまま通信できますから、めちゃくちゃ速い。要するに低遅延かつ高速度で、しかもそのエネルギーコストをものすごくダウンできるっていうのを、NTTとしてはもう次世代のインフラとして、全面的に押し出そうとしているのです。
基本的には、それはB to Bビジネスにおいて企業の省力化と高速化に資する技術として応用を考えることになると思いますが、B to Cに応用しても面白い見せ方ができるはず。ユーザー・エクスペリエンスを最大化するような、何かそういう「体験価値」を、新しい技術を使ってどんなものを出せるか。街づくりへの応用みたいなことですね。今の5Gでは届かない、さらに先の世界観としてアイデアを出そうと、いろいろ検討しているところです。
1: あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想。2024年の仕様確定、2030年の実現をめざして、研究開発を始めている。


