いつものオフィスにアート作品があるとしたら、どんな気持ちで働けるだろう……。
ちょっと想像するだけで、いつもの仕事風景が少し違って見えてくる気がしませんか?
この「オフィスアート」には私たちの働き方を大きく変える可能性があるように思います。そこで今回は、そんなオフィスアートの魅力について探ってみました。
なぜ今、オフィスにアートが求められているのか? ~変わりゆく”はたらく場所”の形~
リモートワークやハイブリッドワークが広まり、オフィスは「ただ仕事をするための場所」ではなくなりつつある、という話を最近よく耳にします。実際にオフィスへ出社する意味や、オフィスでどんな体験が得られるのか――オフィス出社の体験価値を考え直す時代になりました。
そんな中で注目されているのが「オフィスアート」です。美術館でないと見られないような作品を、いつものオフィスで楽しめるようになったら……想像すると何だかワクワクしますね。オフィス空間をどう作れば、そこで働く人の気持ちがもっと前向きになったり、創造力がかき立てられたりするのか。オフィスアートには、そのヒントがありそうです。
オフィス環境は、ただ仕事に集中するための“作業スペース”から、組織の価値観や社風を表現しながら、従業員の創造性やモチベーションを引き出す場であることが求められるようになりました。特にリモートワークやハイブリッドワークの普及で、「オフィスで過ごす時間そのものに付加価値を求める」流れが強まっていることも一因だと思います。
こうした流れを受け、企業ブランディングやウェルビーイング向上の観点でも、オフィスデザインを見直す動きが活発化しているようです。その一環として、企業が自社のシンボル的存在となるアートを導入するケースもじわじわと増えてきています。
リニューアルしたオフィスに訪問すると、仕事をするための場というだけではなく「この空間、素敵だな」「オフィスなのに美術館みたい!」と感じて、ワクワクと仕事にも取り組めるような気がします。実際、そんな空間を演出しているオフィスに惹かれる方も多いのではないでしょうか。
さらに、国内外の企業事例を見ても、オフィスアートを導入すると、創造性の向上だけでなくストレス軽減やコミュニケーションの活性化、企業文化の醸成など、さまざまな効果が期待できると言われています。経済産業省の調査でも、オフィスにアートを導入した従業員の64%が「仕事へのモチベーションが上がった」、84%が「ストレスが減った」と答えているんだとか。【2】この数字、なかなか見逃せないですね。
少しイメージを膨らませてみましょう。
画像のようにアートがあるオフィスと、白い壁だけのオフィス。
どちらの方が自由なアイデアが浮かぶでしょうか? アートがあるほうが、何か目に見えないエネルギーを与えてくれるような気がしませんか。

たとえば、TokyoDexのオフィスアート導入プロジェクトでは、アートを導入したことで「職場にアートがあるのが楽しみで、オフィスに行く気持ちが変わった」「会社のイメージがガラッと変わった」という声が寄せられました。【2】また、「採用時に、職場にアートがあることに関心を持つ応募者が増え、社風が変化した」との声も。アートが単なる飾り物ではなく、“企業の力”として作用していることを感じます。
こうした背景もあり、オフィスアートはこれからの職場環境づくりの大きなトレンドになりそうです。ここからは、実際どんな効果があるのか、もう少し具体的に見てみましょう。
オフィスアートがもたらす5つの効果 ~私たちの働き方はこう変わる~
文化醸成など社内への影響はもちろん、ブランディング効果など外へ向けてもメリットがあるとされるオフィスアート。その代表的なポイントを5つに分けてみました。
(1) 創造性・イノベーションの促進
あのGoogleやFacebookもオフィスアートを積極的に取り入れています。アートによる視覚的な刺激が、従業員の想像力をくすぐり、クリエイティブな思考を後押しする効果を期待してなんだとか。実際に日本企業でも同様の取り組みが行われており、経済産業省の調査では、35%の従業員がオフィスアートが「自由な発想につながった」と感じているそうです。【2】ふとしたアイデアが大きなイノベーションに繋がることを考えると、企業としても積極的にアートを取り入れたいところですよね。
(2) 従業員のモチベーション・ウェルビーイング向上
「殺風景なオフィス」と「アートのある心地よい空間」。どちらが気持ちよく働けそうでしょうか? エクセター大学の調査では、アートや植栽のあるオフィスでは作業効率が17%アップし、さらに個人がオフィスデザインに関わることができる環境では32%も効率アップするという結果が出ています。数字で見ると、アートの効果は思った以上に大きいことが分かります。

(3) 企業ブランディング・アイデンティティの強化
「会社らしさ」を表現するとき、言葉だけではどうしても伝えることが難しい部分。そこをアートが補ってくれるケースは多いようです。
実例として、ベイカレントではアーティストJUN INOUE氏のダイナミックな壁画をオフィスに取り入れ、企業の想いを力強く表現しているそうです。【1】ロゴやスローガンだけでは伝えきれない“勢い”や“エネルギー”を視覚として体感できるのがアートの魅力なんですね。
(4) コミュニケーションの活性化
アートがあると、自然と「この作品、面白いね」「どういう意味なんだろう」などと話すきっかけが生まれるもの。たとえばJLL東京本社では、展示アートを半年ごとに入れ替え、その展示テーマを社員投票で決めているそうです。【1】半年ごとのアートイベントでは、普段は業務で接する機会の少ないメンバーとも会話が増え、社内コミュニケーションが活性化されるため、会社全体にとってもよい効果となりそうです。
(5) オフィス空間のイメージアップ
「あのアートがある会社」—— そんな風に自分のオフィスが記憶に残してもらえたらやっぱりうれしいものですよね。
SCSK LINK SQUAREでは、アーティストチームWHOLE9による迫力ある壁画アートを取り入れ、訪れる人の記憶に残る空間をつくりあげたそうです。【1】こういったアートは「雰囲気の良い会社」というポジティブなイメージをより強く相手に印象づけてくれます。

ここまで見てきたように、オフィスアートには企業にもたらすメリットがたくさんあります。こうした事例を知るほどに、私も「もっと日常的にアートに触れながら働きたいな」と思うようになりました。ではこれから、どのような形で私たちの働く環境にアートが溶け込んでいくのでしょうか。
オフィスアートの未来と可能性 ~これからの働く場所のかたち~
今回あらためて、オフィスアートは単なる飾りではなく、企業文化の視覚化や従業員の働きやすさ向上、そしてイノベーションを生む源として活躍していることを強く感じました。
しかも最近では、バーチャルオフィスの空間にデジタルアートやインタラクティブアートを導入する取り組みも始まっています。企業とアーティストのコラボレーションも増えてきていて、「自分たちらしい働き方」を追求する流れは、ますます広がっていきそうです。
ここまでを振り返ると、オフィスアートはどこか都会のオアシスのような役割を持っている気がしてきました。色彩豊かなアート作品が、ピリッとしたビジネスの空気に柔らかい風を送り込み、ふとした瞬間にアイデアが湧くきっかけをつくってくれる。心のキャンバスに新しい色を足してくれるその刺激は、仕事へのエネルギーをかき立てるだけでなく、時には日々の疲れをそっと和らげてくれるようなそんな存在。
皆さんは、「アートのある職場」で働くと、毎日がどう変わると思いますか? 何か思いがけないアイデアや、新しい自分の一面に出会えるかもしれませんよ。
次回は、私たちAcallが初めて取り入れたオフィスアートプロジェクトを詳しく紹介してみたいと思います。ぜひお楽しみに!
参照:
【1】経済産業省.アートと経済社会について考える研究会の報告書.2024,02. https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/art_economic/20230704_report.html
【2】経済産業省. 文化経済政策(クールジャパン/クリエイティブ産業).ヴィジュアルアートによる組織活性化調査実証事業.2022,03. https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/index.html


