「AIって、思ったより使えない」を変えるヒント―生成AIとともに進化する組織

「AIを導入してみたものの、思ったほど成果が出ない」「むしろコストばかりが増えているような気がする」——そんなふうに感じた経験はないでしょうか。最近では、さまざまな場所で『AI活用』という言葉をよく見かけるようになり、『AIは必ず取り組まなければならないもの』というイメージが広がっています。そのため、多くの企業が急いでAIにチャレンジしてはみるものの、思ったように活用できず、がっかりしてしまうことも少なくありません。今回は、そんな生成AIの「幻滅期」をどう乗りこえるか、一緒に考えていきましょう。

生成AIの「幻滅期」って?~期待と現実のギャップをうめる方法~

今、生成AIは「幻滅期」に入ったと言われています。「幻滅期」とは、簡単に言うと「すごく期待していたのに、使ってみたら思ったより役に立たなかった…」という時期のこと。新しいおもちゃをワクワクしながら開封したけど、思ったほど面白くなかったときのような感じです。

Gartnerによると、生成AIは今まさにこの「幻滅期」にあるそうです。「ChatGPTがあればなんでもできる!」という期待が大きすぎて、いざ使ってみると「うまく使えない」「お金ばかりかかる」と感じる人が増えているのだとか。

しかし「幻滅期」は、必ずしもネガティブなものではありません。むしろ、それを乗り越えることで、本質的な価値が見えてくる重要な段階ともいえます。かつてインターネットやスマートフォンが登場したときも、最初は使いづらさが指摘されていましたが、今では日常に欠かせない存在となっています。生成AIも同様に、期待と現実のギャップを越えた先に、より大きな可能性が広がっているといえるでしょう。

生成AIのハイプ・サイクル:2024年(出典:Gartner)

マルチモーダルAIという新しい希望~人のような理解力がもたらす未来~

生成AIの次なる進化として注目を集めているのが「マルチモーダルAI」です。「マルチ(multi)」は“複数の”、「モーダル(modal)」は“形式・方法”という意味を持つ言葉で、つまりマルチモーダルAIとは、複数の異なる情報の形式(テキスト、画像、音声など)を同時に理解し、組み合わせて判断できるAIのことを指します。これは、人間が視覚や聴覚といった複数の感覚を通じて状況を把握するのに似た仕組みです。

たとえば、こんなことができるようになります。

  • 会議を録画すると、誰が何を話したかを自動でまとめてくれる
  • オフィスの写真を見て、「ここをこう変えるといいですよ」とアドバイスしてくれる
  • お客さんの顔や声から「この人、困っているかも」と気づいてくれる

こうしたマルチモーダルAIの進化によって、これまで人にしかできないとされていた繊細な判断や観察も、AIが支援できる領域へと広がりつつあります。たとえば人事業務では、面接中の表情や声のニュアンスから候補者の印象を立体的に把握できたり、総務業務では、オフィスの利用状況を可視化して、使われていないスペースの改善提案にもつなげられるかもしれません。データと感性を橋渡しするような使い方が、少しずつ現実になってきています。

チーム「BrainGain」のチャレンジ~現場から生まれた変化のストーリー~

今あるAI技術でも、日々の業務を大きく改善できる——そんな可能性に着目し、私たちAcallが取り組んだ事例をご紹介します。

社内では「BrainGain(ブレインゲイン)」というプロジェクトチームを立ち上げました。(ちなみにこの名前、BrainとGainの両方に「AI」が含まれています!)このチームは、AIを業務に取り入れながら活用方法を試行錯誤し、効果や課題を検証していくパイロット的な役割を担っています。

メンバーはそれぞれの業務でAIを実際に使ってみて、「1時間かかっていた作業が10分で終わった」「このツールを使ってみたけれど、うまくいかなかった」といった体験を率直に共有しています。

成功談だけでなく、失敗談もオープンに話すことで、学びの幅はぐっと広がります。「このプロンプトなら精度が上がる」「ここは人の判断が必要だ」といった具体的な気づきも、チームの中から自然に生まれてきました。こうした実践と対話の積み重ねによって、失敗を恐れずに試せる心理的な安心感も育まれています。

最初はAIに対して苦手意識を持っていたメンバーも、「他の人もつまずいているなら、自分もやってみようかな」と一歩を踏み出すようになり、少しずつ挑戦する人が増えていきました。

AI時代を生き抜く3つのポイント

Acallでの体験から見えてきた、AIと上手につき合うためのポイントを3つ紹介します。

一番困っているところから、ちょっとずつ始めよう

最初から会社全体でAIを使おうとすると大変です。まずは「この仕事、いつも時間がかかって困ってるんだよね…」という、いち業務内での活用から始めてみましょう。

たとえば会議の議事録をAIに任せてみるなど、導入効果が見えやすい領域から始めることで、活用における成功体験を積みやすく、また新たな活用のイメージも湧いてきやすくなります。

好奇心を持って、楽しんで学ぼう

AI活用方法の学びを深めていくためには、「こんなことができた!」「こんな失敗をした!」といった体験を楽しく共有できる場所を作ると、メンバー全員で学ぶことができます。

新しいツールや技術に対して、柔軟に興味を持ち続けられる環境を整えることが、AI活用文化を育てる上で重要です。

安心して使えるルールを作ろう

マルチモーダルAIを使うと、写真や声などのいろんな情報を扱うことになります。だからこそ、プライバシーや安全についてしっかりとルールを決めることが大切です。

写真や動画・音声データなどの活用においては、利用における事前ルールを作っておけば、利用者全員が安心してAI活用することができます。明確なルールとガイドラインのもとで、安全かつ責任ある利用を推奨していきましょう。

これからの「AIとともに生きる時代」へ~それぞれの得意なことで助け合おう~

AIの進化はまだ始まったばかり。今は「ちょっと難しいな」と思う時期ですが、この先にはもっと便利で楽しい未来が待っています。

大事なのは、AIはあくまで「道具」だということ。ちょうど、包丁が料理人の技術を補完する道具であるように、AIも人間の創造力や判断力を支援する存在として位置づけられるべきです。

AIが得意な作業や計算はAIにまかせて、人間は想像力や気持ちを大切にした仕事をする。そんな助け合いのような関係が、これからは必要になってくるのです。

どれほどテクノロジーが進化しても、人間性や共感力といった『人らしさ』を大切にすることが、これからの社会において大きな強みとなるでしょう。その『人らしさ』こそが、AIでは描けない未来の設計図を引いていくのかもしれませんね。

参照:Gartner.Gartner、「生成AIのハイプ・サイクル:2024年」を発表 - 2027年までに生成AIソリューションの40%がマルチモーダルになると予測.2024,09.
生成AIのハイプ・サイクル:2024年

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