「チェックイン」で会議が変わる──雑談を「成果」につなげる実践法

「会議の空気がなんだか重い…」「沈黙が気まずい…」そんな経験、ありませんか?
特にオンラインの会議では、画面越しに真剣な表情や緊張がにじみ、本題に入っても発言が出にくい。そんな空気、感じたことはないでしょうか。

そんな時こそ力を発揮するのが「チェックイン」。 Acallでも全社会議の冒頭で、「今の気分を天気で表すと?」「最近ちょっと嬉しかったことは?」といった問いかけを行い、みんなで答え合う「チェックインタイム」を設けています。たった数分のやりとりでも、場の雰囲気を柔らかくし、チームの距離感がぐっと近づくのを感じます。

「単なる雑談でしょ?」とあなどるなかれ。チェックインは、コミュニケーション力と会議の発展性を高める「場づくりの設計」なのです。
もし、会議の始まりから「話しやすい空気」が流れていたら――どんな議論が生まれるでしょう?

このコラムでは、そんなチェックインの効果や実践アイデア、すぐに始められる導入のポイントをお届けします。

1. なぜ今、チェックインが注目されるのか?

「最近、会議で発言が減った気がする」「オンラインだと、つい聞き役にまわってしまう」──そんな声も聞かれることが増えました。

コロナ禍をきっかけにリモートワークが普及し、今は出社回帰へと進む企業も多いなかで、対面・オンラインを問わず「安心して話せる場づくり」の重要性はますます高まっています。

実際、総務省の調査でも、対面の機会減少によるエンゲージメントの低下や、対面会議でも以前ほど活発なやりとりが生まれなくなったと感じる人が増えていることが指摘されています【1】。また、オランダ・トウェンテ大学の研究では、ハイブリッド会議において「チームに受け入れられている」「認められている」といった雰囲気が、発言のしやすさに直結していることが示されています【2】。

こうした流れから見えてくるのは、「発言しやすい空気」をデザインすることが、多くの企業にとって欠かせない課題になっているということです。そして、その第一歩としてすぐに始められるのが「チェックイン」なのです。

「アイスブレイク」と「チェックイン」はどう違う?

「アイスブレイク」は経験があっても「チェックイン」は初耳、という方も多いのではないでしょうか。実はこの2つ、似ているようで目的も使い方も異なります。

  • アイスブレイク 
    初対面や緊張した場で「場を和ませる・距離を縮める」ための導入トーク。雰囲気づくりや距離を縮めることが目的です【3】。
  • チェックイン 
    会議冒頭に、同じテーマについて全員がひと言ずつ発言することで、自分も参加者の一人だという意識を揃える「小さなウォーミングアップ」。発言のハードルを下げる効果もあります。

特にZ世代の若手社員にとっては、「自分らしく安心して話せる職場」が理想。リクルートの調査でも、個性や意見を尊重し合える風土が重視され、安心して関われる職場環境が求められていることがわかります【4】。

2. チェックインが生む「心理的安全性」

チェックインによる大きな効果は、「心理的安全性」を育てることにあります。 心理的安全性とは、「自分の意見を出しても否定されない」「間違っても大丈夫」と思える安心感のこと。Googleが約180チームを対象に行った「プロジェクト・アリストテレス」でも、心理的安全性の高いチームほど成果や創造性が高いことが示されています【5】。(「心理的安全性」については、過去の記事でも紹介しています。)

たとえば会議の冒頭に、ひと言でも自分の近況や気分を話す時間があると、「この場にいていい」「聞いてもらえた」という感覚が生まれます。自分が「いるだけの人」ではなく、「関わっている人」だという意識に切り替わるのです。

さらにScience誌の研究によれば、発言や会話の量が多いグループほど、チームの成果指標が最大約40%高くなると示されています【6】。会議冒頭のチェックインや雑談の時間が、チーム全体のパフォーマンス向上につながることが科学的に証明されているのです。

3. 企業でどう活かされている?チェックインの実践例

チェックインは国内外で多くの成果をあげています。米IDEOでは「今朝の気分を天気で」「今の頭の中をひと言で」などの問いで毎朝チェックインを実施。メンバーの共感や発想力が自然に引き出されているそうです【7】。
日本でもアディッシュ株式会社では、全社朝礼や経営会議の冒頭にチェックインを導入。「ぶっちゃけ今の気持ち」などのテーマで参加者同士の関係性をフラットにし、時には30分かけて実施することもあるほど【8】。こうした工夫が、会議の質の向上に貢献しています。

たとえば次のような問いかけからでも、チェックインはすぐに始められます。

🐶「今日の気分を動物でたとえると?」
🏖️「週末、やりたいことは?」
🪇「最近ハマっていることは?」
たった一言のやりとりが、会議の空気をふっとやわらげてくれます。

4. 無理なく始める「会議の入り口づくり」

とはいえ「効率重視」や「いきなり本題へ」が当たり前の企業風土では、戸惑いがつきものです。「興味はあるけど、どんな話をしたら?」「真面目な会議だから違う話題を挟むのは抵抗がある」――そんな声も多く聞かれます。

そこでおすすめなのが、負担なく続けられる「仕組み化」です。

🎁 テーマのストックを用意して、参加メンバーがランダムに選べるようにする
🏐 担当者を週替わり・持ち回りにすることで、「みんなで進める」体験
⏰ タイマーで1人1分など、時間を区切って「やりすぎない」工夫を

次に、実際に今日から使える「チェックイン」用の質問例もご紹介しましょう。

①自己紹介+ひと言

「今日初めて参加します。実は…犬を3匹飼っています!」
自己紹介にパーソナルな一面を添えることで親しみが生まれます。初対面の場や新メンバーがいるときにおすすめ。Acallでも、毎週の全社会議で担当チームが出すテーマに全員が回答し、盛り上がってスタートしています。

②気分の共有トーク

「今日の気分を天気で表すと?」 
ファシリテーターが先に答えることで、他の人も続きやすくなります。

③「テーマを投げる」スタイル

「このテーマについて今、思うことをひと言で!」
議題にスムーズに入るための導入として効果的。発言力の強い人がいる場合は、順番を工夫して最後に回すと、全体のバランスが整います。

④ざっくばらんな近況トーク

「今日のランチは何でしたか?」
雑談のような軽めのネタでも、会話のきっかけになります。

⑤外部の人も巻き込める声かけ

「今の体調、どうですか?」
社外の方が参加する会議でも違和感なく始められる一言です。

まとめ:「チェックイン」は組織をつなげる

「最初は恥ずかしかったけど、今ではチェックインがないと寂しい」 「意外な一面を知って会話が増えた」 「新人からベテランまで発言しやすくなった」——そんな声も多く届いています。

会議の冒頭のチェックイン。それは単なる雑談ではなく、関係性に光をあてる「小さな仕掛け」です。 これからの「働きやすい職場づくり」には、個々人が「安心して話せる空気づくり」が欠かせません。

まずは明日の会議のはじまりに、「最近ちょっと心が動いたこと」を一言シェアしてみませんか?そのひと言がチームの会話を変え、働く時間を少しだけ、心地よいものにしてくれるかもしれません。

参照:
【1】総務省. テレワーク時におけるコミュニケーション・マネジメント面の課題に関する調査報告書.
https://www.soumu.go.jp/main_content/000951833.pdf

【2】Bohlmann, S. (2025). Psychological Safety in Hybrid Meetings: How Employees Decide to Speak Up. University of Twente.
http://essay.utwente.nl/106791/1/Bohlmann_BA_BMS.pdf

【3】日本労働研究雑誌. 「企業の人材育成とアイスブレイクの活用」.
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2021/12/index.html

【4】リクルートマネジメントソリューションズ. 2025年新入社員意識調査.
https://www.recruit-ms.co.jp/news/pressrelease/1334539637/

【5】Duhigg, C. What Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team. The New York Times Magazine.
https://www.nytimes.com/2016/02/28/magazine/what-google-learned-from-its-quest-to-build-the-perfect-team.html

【6】Woolley, A.W., Chabris, C.F., Pentland, A., Hashmi, N., & Malone, T.W. (2010). Evidence for a Collective Intelligence Factor in the Performance of Human Groups. Science, 330(6004), 686–688.
https://www.science.org/doi/10.1126/science.1193147

【7】IDEO. The Little Book of Design Research Ethics.
https://www.ideo.com/post/the-little-book-of-design-research-ethics

【8】アディッシュ株式会社 (2019). 会議で「チェックイン」してますか?おすすめのやり方5パターンを紹介します.
https://sg.wantedly.com/companies/adish/post_articles/169038

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